Technology Strategy Boardの助成金プログラムについてしらべてみた

以前「イギリスでは助成金がスタートアップの資金源として話題にあがる」と書きましたが、いろんな制度があってけっこうわかりづらかったりします。

私は既にNominet Trustという非政府チャリティー団体からの助成を受けているのですが、そのプログラムも終了したので現在次の資金調達に奔走中です。

ちょうど先週、イギリス技術戦略委員会(Technology Strategy Board 、通称TSB) の助成金プログラムを作成している方に彼らの制度を詳しく説明してもらったので、それを忘れないうちにメモ代わりに書いておきます。

  • IC tomorrow
  • SBRI( Small Business Research Initiative )
  • Collaborative R&D
  • SMART

IC tomorrow

イノベーションコンテスト」という名目で2万5千〜5万ポンド程度の比較的小額を助成する制度。

年に1〜2回ほどテーマを決め、そのテーマにそったパートナーを業界から選んでいるようです。去年は「ゲーミフィケーション」をテーマにGoogle,Sony Computer Entertainment,そしてイギリスの映画館であるODEONらが、より具体的なトピックを提示します。例えばODEONが前回提示したトピックは「映画が始まる前の空き時間、映画のスクリーン、そしてモバイルを利用してなにができるか」でした。

現在開催中のテーマは「Entertainment on the Move」というもので、モバイルを使ったエンターテイメント目的のテクノロジーがテーマです。「音楽」「書籍」「雑誌」「インタラクティブエンターテイメントとゲーム」の4つのカテゴリーに分かれています。私のつくっているStepUpはウェブサイトですが、そのモバイル版の作成に使えないか検討中です。

額が少ない分、比較的融通が利くプログラムで、申し込み要項もフォーム一枚分とかなりお手軽そうです。

SBRI

案件によっては100万ポンドまで支援する大型の助成金です。特徴としてはTSBが対象企業に仕事を依頼する「コントラクト」形式なので成果物がどういったものかをかなり事前に詳しく定義する必要があり、もし事前のプランと成果物がことなったり、ある部分を作成しない場合はペナルティが課される場合もあるらしいです。

現在開催中のものに「Learning technologies design for impact」というのがあります。これは複数に分けて開催され、第1段階では8万ポンドの助成でリサーチ、次の段階でさらに大型の助成金をもとに開発になります。

私は最初これへの応募を検討したのですが、提出書類がかなり大掛かりになりそう、すでに私の場合はアプリがあるのでリサーチ段階をすぎている、そしてあまり事前に成果物を定義しずらい、などの理由で見送ろうかと思っています。

SMART

このプログラムは通称「マッチアップファンド」といわれるもので、プロジェクトの60%までを助成する代わりに、残りの40%は自力で調達する必要があります。
そしてこれもSBRIのように市場調査、プロダクト調査、プロトタイプ作成といった段階ごとに申し込み可能です。

これは特定のテーマといったものはなく、年に6回ぐらいにわかれて開催されるようです。

プロトタイプ作成に25万ポンドも助成してくれるなんて太っ腹ですが、それだけ大規模な案件を対象としているっぽいので私は現在は特に申し込みを考えていません。

Collaborative R&D

このプログラムもSMARTと似たマッチアップファンドですが、パートナー企業や大学とのコラボレーションを基本としているところが大きな違いです。
私は申請する予定がなかったのですがちょっとどんなテーマがあがっているのか調べてみました。

なんかタイトルを訳すだけでも苦労しそうな大変難しそうなトピックばかりです。

まとめ

以上が概要です。助成金制度はいろいろあるのですが「小額助成金、政府との契約案件、マッチアップファンド」の3種類があると考えればすっきりします。
でもいろいろあるプログラムに申請するのはなかなか骨が折れるものです。特に助成額の大きな案件は申請書記入するだけでもかなり骨が折れるし、ビジネスプランをかなり細かいところまでつめないといけないようです。

競争率もなかなか激しいので「申請代理コンサルタント」みたいな団体もいろいろあります。前払いしなければいけない団体とはあまり関わりたくないのですが、成果報酬型(助成金のxパーセント)とかだとリスクも低いので悪くないかなと思います。ちなみに申請代理コンサルタントではGrantTreeという団体が有名らしく、彼らのサイトの中にもイギリスでの資金調達の種類についていろいろ詳しく書かれています。