ヨーロッパのVC規模:FOWAのプレゼン資料より

今年のブログネタとしてヨーロッパやイギリスのベンチャーネタを取り上げる予定だったのですが、ずいぶん間が開いてしまいました。
前回はイギリスの有名ベンチャー企業をRead/Write Web の記事をもとに紹介してみました。

今回は2月20日〜22日に行われた FOWA(Future Of Web Apps)内で行われたIndex Venture Capital の人が行ったプレゼンをもとにヨーロッパのVC事情を紹介していきたいと思います。

FOWAlast.fm,digg,netvibesといった欧米の新進Web2.0企業やAmazon,Google,BTといったネット界の大御所企業の代表者があつまってインターネットの将来を語り合うというイベントで、昨年サンフランシスコで行われたのに続いて2回目の開催がロンドンで行われました。

他にもFlickr37Signalsの出るFOWD (Future Of Web Design)やRSS配信で有名なFeedBurnerの出席するFOWD(Future Of Online Advertising)というのも主催しているようです。

Index Venturesはヨーロッパでも有数のベンチャーキャピタルlast.fm , FON, Skype, MySQLといったヨーロッパの有名ベンチャー企業に出資しています。

そのIndex Ventures のパートナーでSkypeのVPでもある Saul Klein のプレゼン資料が公開されていたのでその内容を要約してみます。

1.欧米のVC市場規模の比較

US-2006
$25.7bn (約3兆円)
1446 transactions
$10.5m average investment (約12億円)

Europe - 2006
€4.1bn(約6537億円)
867 transaction
€14m average investment (約22億円)

イギリス国内でのインターネット関係の投資
2005 - £24m (約57億円)
2006 - £79m (約187億円)


ヨーロッパはアメリカに比べると総投資額は5分の一程度ですが、一回の投資額は多いようです。そしてイギリス国内では前年比と比べて3倍に投資額が跳ね上がっています。


2.ケーススタディ
VCの経営への関与度が高い。CEOの採用に積極的に関与したり、臨時のマネジャー役をつとめたりする。Skeype がロンドンに本社を移した際は、Index Venturesのオフィスの目と鼻の先にあったため、密な連携が可。

3.VCが必要な時、必要でない時

必要な時=ユニークなコンセプトや製品であり、かつ優秀な経営陣がそろっており、市場が拡大期になっている時。要は火種は揃っていてあとは火力をあげるための燃料が必要だという状態。
必要でない時=まだ市場規模が小さい、製品というよりも一機能、お金儲けが動機でない状態

ベンチャーキャピタルのプレゼンなのに「VCが必要でない時」というのがちゃんと説明されているのが良心的だなと思いました。

あとイギリス国内のベンチャーへの投資総額がヨーロッパ全体の1%以下というのは意外な少なさだなと思いました。
イギリスは金融(city)や広告などのmedia系は強いイメージがありますが、あまりテクノロジーというイメージがないからでしょうか。

次回は「なんでヨーロッパがシリコンバレーみたいになれないの?」というトピックについて取り上げてあるブログエントリーをいろいろ紹介していきたいと思います。


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