FOWA: Webスタートアップの未来 by Paul Graham その一

2日目のキーノートはYCombinatorでのスタートアップ投資で有名なPaul Graham によるFuture Of Startup:Webスタートアップの未来。



今回のカンファレンスで最も楽しみにしていたセッションだったのですが、彼の歯に衣を着せぬスピーチはたぶんもっとも議論を醸し出したのではないでしょうか。和訳はすでにここに出ているので、彼の発言を追いながら、会場の様子などをリポートしてみます。

イントロ部分

これはテクノロジーの分野で繰り返し現れているパターンだ。最初ある種の装置がすごく高価で少量がカスタムメイドで作られている。それから誰かがそれをずっと安く作れる方法を見つけ、桁違いにたくさん作られるようになる。そしてそのことによって、その装置は以前には考えもしなかったような使い方がされるようになる。

この部分は今回のカンファレンス全体に流れるテーマのようにも思えました。

"Short on Cycles, Long on Storage"というタイトルでUtility Computing (Amazon S3など)の将来について語ったSimon Wardleyも同じように産業革命を例に出し、大量生産で標準化されたものが安価で手に入ることで、今まで企業内部に置いていおいたインフラ部分のアウトソース化が加速すると述べていました。

そしてDiggの創業者Kevin Rose の "Lessons learnt from Launching startup"のセッションでは、「最初のうちは投資家なんか探さなくても、自分のお金で出来る範囲でブートストラップすればいいよ。初めて投資してもらったお金で喜んでSunの紫色のクールなサーバを買ったけど、自分でメンテする分手間がかかってしょうがなかった」と述べていました。

3. 買収に対する新しい姿勢

Googleの例はそのような考えを正してくれるだろう。Googleはこれまでのところ、他のどの公企業よりもすぐれたプログラマを集めている。その彼らが買収をすることに問題がないのであれば、他の会社には余計問題がないはずだ。Googleがどれほど買収をするにせよ、Microsoftはその10 倍も多くやっていてしかるべきなのだ。

この部分はPaul Graham の他のエッセイでも「GoogleがVCの一番のライバルになる」見たいなことを言っていました。私としては最近Amazon, FaceBook, Microsoftがそれぞれスタートアップ企業を支援するプログラムを打ち出してきたことについてどう思うかQ&Aで質問したかったのですが、すでに他の質問をしていたので、チャンスはもらえませんでした。残念。

逆に私がQ&Aでした質問は「Paulの考えるスタートアップのモデルは、小さく安く始めて、Googleみたいな企業に2~3年買収されることのようだけれど、では37 Signals のように小さいながらも十分利益を出している、買収される指向のない企業についてどう思う?」でした。 それに関するPaulの答えは「10年後には買収されていると思うよ」とそっけないものでした。これは個人的には少し残念な答えでした。なぜなら一般に企業の寿命は30年程度なので、10年も続けるというのはそれだけで成功したといえるのではないのでしょうか?しかも37Signalsの場合はすでに5年近く利益をあげ続けています。2~3年での買収を考える会社とは別のモデルと考えた方が良いと思います。まあ個人的には2~3年での買収を否定している訳ではないのですが。