Trampoline Systems:イギリス発 Enterprise 2.0 (その1)

6月に開催されるインフィニティ・ベンチャーズ・サミット(IVS)にイギリスから参加するTrampoline Systemsについてまとめてみました。

そもそもなんで私とIVSとTrampolineが関係あるかという事なのですが、前回Infinity Venturesの小林さんと小野さんがロンドンに滞在されたさい、ランチをご一緒する機会があり、その際にヨーロッパでおもしろいベンチャー企業の一例としてTrampolineをあげたのがはじまりです。

せっかく自分でお勧めしといたのに、日本語での情報がGoogleで探してもほとんど見つからないので私なりに、英語の情報などをもとにまとめてみました。


1.Enterprise SNS = Email?
まず最初に"Enterprise SNS"とか"Enterprise 2.0”というとどういったサービスを思い浮かべるでしょうか? CEOが社外向けブログを書いたり、社内での情報共有のためにWikiを使ったりといったところでしょうか。

一昔前まであったノレッジマネジメントツールが機能盛りだくさんの割に、文書ファイルの権限管理なんかが煩わしくてほったらかしなってしまいがちですが、Wikiなんかは「だれでも編集可能」といった手軽さが非常に魅力的です。

私自身つい昨年まで大企業につとめていた頃はWikiの熱心な信仰者で、「みんなでシェアする情報はなんでもWikiに書くように」なんて同僚にしつこくいっていましたが、なかなかみんなが頻繁に更新する習慣を徹底させるには骨が折れたのを覚えています。
Web2.0とかいわれて久しくなった今も、Emailがどこの企業でも一番の情報共有方法ではないでしょうか?
何十人あてにccされたメールや、どこかの部署の誰それさんから何度も転送されて自分のところまで届いたメールをメールボックスの中に保存して、必要に応じてメールボックスを検索とかしてました。

Trampoline Systemsはこういった社内にすでにある情報を分析し、そこから「人」にフォーカスした情報を分析、可視化するための一連のシステムを提供しています。

2.サービス概要

具体的にどういったものかはReadWriteWebに詳しい記事がのっていたので、そこから要約していきます。


Trampoline's SONAR platform brings a fresh approach to information management, by harnessing the social behaviour that occurs within organizations. SONAR plugs into the corporate network and connects to existing systems, including email servers, contact databases and document stores. It analyses this data to map social networks, information flows, expertise and i
ndividuals‚ interests throughout the enterprise. Finally, a truly useful application for social networking, or rather professional networking! Rather than the LinkedIn-like approach, where users need to keep their profiles updated, SONAR is an automatic knowledge mapping system.

Trampoline社の"SONAR platform"は組織内で起きている人々の動きの流れを抽出することによって、インフォメーションマネジメントに新しいアプローチをもたらしています。
SONARはメールサーバや、CMS、ドキュメントマネジメントシステムにじかに接続、それらの文書内に内包されている「組織内の個人のだれがどういった情報に長けているか」といった情報を分析します。
その結果、組織内のソーシャルネットワーク、いやむしろ職能、知識別のプロフェッショナルネットワークが浮かび上がってくるのです。
しかもLinkedInなどのようなユーザが自分で自分のプロファイルを更新しなければならないものではなく、SONARは自動的にこういった情報を更新してくれます。

SONAR works around two key concepts: Connections and Themes. Connections are the people who users communicate with. They might be project team mates, other employees or contacts in outside organizations. Themes are topics of interest. They might be projects, deals or areas of expertise ‚whatever people are communicating about.

SONARには2つのキーコンセプト「コネクション」と「テーマ」があります。コネクションは人々のコミュニケーションの流れを表します。それらはプロジェクトのチームメンバーであったり、
他の組織の人である場合もあります。テーマは各自が興味を持っているトピックを表します。それらはプロジェクト名であったり、各人の専門的技術用語であったりします。

http://www.readwriteweb.com/images/trampoline_sonar_visualizer.jpg

これだけではあまり概要がつかめないとお感じの方はぜひEnron Explorerを試してみてください。

Enron事件はまだご存知の方も多いと思いますが、電力会社のEnron社による巨額の会計操作事件の事です。
その事件を究明する際、役員150人の20万通にわたるemailが公開されました。Enron Explorerはそのメールを元に当時の役員のコミュニケーションを可視化したものです。

使い方としては、Enronの重役の名前を適当にまずクリックし、画面上に出てくる"Load Visualizer"というボタンを押してみてください。
そうするとEnron従業員のメールを媒介としたコミュニケーションの流れがグラフとなって描画されます。このグラフは自由に引っ張ったりして画面を調節したり、
コネクションをクリックしてもっと違う人物のコキュにケーション図を表示させる事も出来るなかなかの優れものです。

次回は、CEOのCharles Armstrongの専門分野であるエスノグラフィート,
彼がどうやってこのサービスを考えついたかについてです。