Benkyo Diary (2週目)

さて、Bethanl Green Ventureでのスタートアッププログラム2週目です。

創業者の打ち明け話

月曜日のお昼はFounders Confidentialというタイトルで国内の著名な起業家を招いてのランチです。"Confidential(極秘)"という名前のタイトルどおり、かなりざっくばらんに内情を教えてくれるので詳しいことは書くことが出来ません。しかしながら今回のゲストは私がそもそもスタートアップに興味をもつきっかけになった会社だったので感慨ひとしおでした。

ユーザビリティ(使い勝手)テスト

火曜日は現在のサイトのユーザーインターフェース(UI)の見直しです。
まず最初にオフィスにいた人を捕まえてユーザビリティをテストしてみました。

テスト項目は以下になります。

  1. 5分間適当にページをブラウズして下さい。
  2. いくつかこのオンラインコースで扱っている内容に対するクイズを出すので、その解答を検索機能を使って探して下さい。
  3. ノートをとってみて下さい。

これまでユーザービリティは後回しにしていたし、自分で使っていて使い辛いところが目についてはいたのですが、私のサイトの初訪問者の振る舞いを横でじっと観察するのは非常に勉強になりました。


検索機能はそんなにひどくはなかったのですが、字幕の検索結果が下の方の目立たないところにあるのでほとんどクリックしてもらえないということが分かりました。


ノートをとる機能は私が全然予想していなかった使い方をしたあげく「この機能は壊れているっぽい」という評価をもらいました。通常「ノートをとる」という行為は大きなノートブックに記入するイメージがあるのでBenkyo Player のような「印をつける」というユーザーインターフェースがまったくあわないというのが分かったのは収穫です。

Impact Measurement

水曜日はImpact MeasurementというタイトルでBGVの投資先でもあるNominal Trustの方によるワークショップです。

Nominal Trustは.ukのドメイン名売買による収益を元に国内の社会にインパクトを与えるあろう会社に色々投資をするのですが、「社会インパクト」というのはなかなか投資の評価をするのが難しいエリアです。そこでの業務でも使う評価指標を自分たちの起業活動にあてはめてみるのが今回の主な演習課題でした。

先週のService Designは「自分たちのプロダクト/サービスがユーザーにどのように使われていくか」という視点で商品のライフサイクルを定義していきます。
復習するとこんな感じです。

Aware -> First Use -> Continue -> Leave

今回は「ユーザーの行動、または環境にどのような変化を期待するか」(Outcome)を先に定義し、それを満たすために自社が提供するサービス(Output)、そのサービスを供給するための活動(Activity)、そしてそのサービスを提供するための材料、あるいは環境(Input)を考えていきます。

Input <- Activity <- Output <- Outcome

我々のサービスは以下のような感じになりました。

新しいユーザーインターフェース

木曜日はIDEOというプロダクトデザイン会社(アップルの初代マウスとか、無印良品のCDプレーヤーとかで有名)のメンターの方とのオフィスアワー。

火曜日のユーザビリティテストの結果を元に考えたスケッチを前もって考えていました。
2つのバージョンがあります。

まずはシンプルバージョン

字幕の検索結果がたくさん表示できるように下側から左側に移し、その分ビデオ画面を大きくしてみました。

そしてフルバージョン


右側にはビデオの進行に応じてスクロールする字幕を、そしてビデオの下にノート用のスペースを配置してみました。


人の好みや授業の内容によって必要なビデオ画面のサイズが変わってくると思うので両者を切り替え可能にできれば良いのではないかと思っています。

以前の赤い印だと、マークしたタイミングと字幕のタイミングとがずれたりするので、字幕を1行ごとにブックマーク(あるいはハイライト)するように変更してみました。

このラフスケッチをIDEOのメンターの方に見てもらったところ「GmailでもFacebookでもページの左側はナビゲーションに使っているところが多いから、サーチの検索結果をナビゲーションのように使うのは良いアイデア。逆に右側は広告が多くて多くの人が無視するのであんまり必要度のないものを配置したほうが良い」とのフィードバックをもらいました。

基本のスケッチの反応はまずまずのようです。ただここからおもしろい意見をいただきました。

ハイライトしたりノートをとった結果って全員が見ることが出来るの?以前IDEOのオフィスでも社内勉強会の一環としてビデオをみてたんだけれど、社内グループだけで勉強の結果や進行状況を共有できたらよいんじゃない?


最初にこれをいわれた時には「現在は自分しか使っていないからグループ機能は必要ないと思います」と返答しておいたのですが、よくよく考えたらグループ機能それこそがビジネスモデルになりそうな気がしてきました。というのも私は以前社内勉強会を開いていたし、今も他のチームの人たちと勉強会を開催しているのですが、たいがい徐々に人が減っていき、私のような勉強会の主催者はなんとかしてみんなに持続してもらおうとやっきになります。そういう人たちに役立つ機能を提供すれば、その会社の研修教育費で購入してもらえそうな気がしてきました。


Business Model Canvasの更新

以下が最新のキャンバスです。Value PropositionとCustomer Segmentの部分にポストイットが何枚も重ねて貼ってあるところに変化の大きさが見て取れるでしょうか?

この二つの部分の境界線のことはProduct Market Fitと呼ばれ、いかにCustomer Segmentを満たすValue Propositionを提供できているかを実証し続けるのがスタートアップの最大の目的だそうです。

これは現在社内勉強会で聴講しているHow To Build Startupのオンラインコースに出てくるトピックです。このコースの先生であるSteve Blankは「Get Out Of The Building」(建物の外にでなさい)といつもいっているのですがそれにしたがって今週の夕方は毎日のようにオンラインコースの勉強会や教育関係のミートアップに参加してきました。そういうところにでていると「ビデオを軸にした自主的勉強」の機運が高まっている兆候が見て取れます。

  • MOOC(Massively Open Onine Courses)と呼ばれるCoursera, Udacity, edXなどが出てきて1年ほどたちますが、それに付随した勉強会が雨後の筍のように出てきています。ある勉強会では「今までプログラマーだったけれどやめてビジネスとか起業を考えている。そのために今は毎日図書館でCourseraのビデオを見ながら勉強しているの」という参加者の女性もいました。
  • 小学生〜高校生用の教育用ビデオを多数公開しているKahnAcademy.アメリカでは彼らのビデオを予習材料として「講義は空き時間に自習するもので、授業は討論や演習の場」といちずける「反転授業」というスタイルが注目を浴びてきています。
  • 教育関係のミートアップに出た時、参加者の先生から「生徒にとってのサーチエンジンGoogle じゃなくてYoutube」といって、Benkyo Playerの字幕検索機能を「革新的だ」と評価してもらいました。

こういった需要に役立つサービスをこの3ヶ月間のうちに作り出せればなと思っています。といってもすでに6分の1が終了してしまいましたが。まあやみくもに自分にプレッシャーをかけまくってもしょうがないし、今週は毎晩のように遅く帰ってきてあまり家族の時間も過ごすことができなかったので、週末はコッツウォルズに一泊旅行にいってきました。