Drawing Skills Works Shop at Central Saint Martins (week 1)

2013年の目標に「画力を向上する」と書きましたが、さっそくコースを受講してきたので、その様子を報告します。

ちなみに最近は「スケッチノート」というのがはやっているらしいので、練習がてら自分でもしてみることにしました。



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コースの中身, 受講者の内訳

学校は University of the Arts London - Central Saint Martinsというところで、会社から歩いて5分ぐらいのところにあります。

コース内容はここにあります。

ちゃんとした美術学校のコースなので私のような完全な初心者でも大丈夫か不安だったのですが、「まったくの初心者でも大丈夫なように1から教える」ということだったので申し込むことにしました。

受講者は10人ぐらいいて、ちょうど男女半々、年齢もばらばら、経験も「2年前に美大をでた」と言う人から、私のように「趣味で始めようと思って」という人もいてかなり幅広いです。

レッスン1

で、まず最初にしたことなんですが、いきなりおもむろに先生が「Cube(正方形の立体図)を書いて。筆圧は均等に」と言われたのですが、まちがえてただの正方形を書いてしまいました。
次に「同じの書いて、でも筆圧を換えて」、「円を書いて」、「円を書いて、そしてその円を立体的に見せるための形を一つ書いて」と次々に言われたので、わけも分からず書いたのがこれです。

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この時ゆいいつ教えてくれたのは「近くにあるものを書くときは筆圧を強く、遠くになるにつれて筆圧は弱く」だけです。

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来週は同じ紙を持ってきて、また同じものを書くことで進展度をはかるらしいです。

レッスン2

次にいよいよデッサンです。リンゴとか花瓶とか書くのかと期待していたのですが、最初のオブジェはこれです。

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最初見たときは「ゴミの山」かと思いました。椅子とスケッチ台とゴミ箱をおもむろに重ね合わせたものです(実際にスケッチしていたときは折り畳みいすは折り畳まれていて、スケッチ台のいくつかは横倒しになっていました)。
しかも「使っていいテクニックは先ほど教えた筆圧だけです。Hatching(たぶん陰影つけるテクニックの一つ。単語すら聞いたことなくて先生に聞き返しちゃいました)とか色付けとかしちゃだめ」と言われたのですが、これがめちゃくちゃ難しかったです。

さいしょに中央の折りたたみいすから書き始めたのですが、一つ一つのものを書こうとしているとなんかオブジェクト間の距離感がめちゃくちゃになってしまいます。とくに重なり合っている部分とかめちゃくちゃです。すると先生が「椅子を描こうとしちゃダメです。対象の全体像をつかむように。あと鉛筆を定規代わりにつかうことで距離感もつかむように。鉛筆はローテクだけれど使えるよ」とアドバイスをもらいました。

鉛筆で距離感をはかり始めると「左のスケッチ台の端から端までは鉛筆一本分」みたいな今まで見えなかった関係が一気に浮き上がってきました。
なるほど、画家が鉛筆斜に構えてうなっているのはただやっているだけじゃなかったんですね。 

こうして距離感をはかり始めると、最初に書いた折りたたみ椅子の位置がまったく違うことに気づき始めます。たくさんの線を書きすぎてもうなにがなんだか分からなくなってきました。そうすると先生がまた「消しゴムあるんだから使ったら」とアドバイスをくれました。

そうして何度も書き直していくうちにだんだん、構図が収まってきました。そうすると先生が「うん、構図は良くなってきた。でもまだ線が何重にも重なっていてどれの線がメインの線か分からないよね。そろそろどの線でいくか決断をする時だよ。いらない線は全部消して下さい。」とのこと。これは私だけでなく他の受講者の人たちにも何度も繰り返していっていました。あと「消しゴムはただ消すだけのものではなくて、絵を描くための道具だよ」との名言もおっしゃっていました。 でもくっきりした線を書くのって難しいですね。何度も先生に「いや〜、この椅子はソファーみたいに柔らかく見える。これにはすわれないよね〜」と言われました。


品評会

2時間半の授業だったのですが、たぶん1時間近くはこのレッスンに費やしていたと思います。それまでは対象のオブジェを中心にみんなが円を描くように周りを囲んで書いていたので、他の人の進捗が全く見えませんでした。先生が「う〜ん、これは良くなった」とか他の人をほめているのを聞いたりするたびに「自分だけめちゃくちゃへたくそだったらどうしよう」とビビってきました。

最後にスケッチ台を裏返しにして、みんなに見えるようにした後、先生が一人一人の作品を論評していきました。

全員がオブジェの見る位置が違うので、それを比較するのは非常に興味深かったです。あとオブジェの全部を書く人も入れば、2つか3つの椅子しか書いていない人もいたり、椅子が紙からはみ出すような大胆な構図をとっている人とかもいました。

ちなみに私の作品はこれです。

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正直言って美大出身者も含めてそんなに違いがあるとは思いませんでしたが、以下が先生の論評です。

  • 構図を変える度になんども書き直したのはすばらしい。折りたたみ椅子なんで5回ぐらい書き直したよね。
  • スケッチ台の足の部分の線が何重にもなっているけれど、一本にすべき。 これは全ての人に言えることだけれど、君の作品に特に顕著に見られるね。
  • 金具とかの細かい部品は構図に影響を与えないので書く必要はない

私の個人的な感想ですが、他の人に比べて筆圧が弱かったのか、メリハリが少ないように思います。あと直線がうねうねしすぎなので、線を決めたあとは一度補助線を全部けして、もっとくっきりとした直線を書き直してもよかったかなと思います。


感想

最近オンラインコースのビデオを見ることが多いのですが、その場合「先に先生の講義を聞いて、教えられた通りのことを実習する」というスタイルになれていました。
この授業は逆に「必要最小限のことを教えて、あとは自分で発見するように試行錯誤する。先生は生徒がつまずいている時に軌道修正するためのアドバイスを時々あげるのみ」というスタイルでした。
一度「近いものは濃く、遠いものは薄く、とのことですが、陰のある部分は遠くにあるのに近くのものより濃く見えますがどうすれば良いんでしょうか」と質問したら「自分で考えて下さい」という返答が返ってきました。
あと先生が「どう考えるかだけでなく、どう感じるかが大事」ということを何度もおっしゃっていたのが印象的です。

う〜ん、日頃やっていることと全然違うことを、全然違う教え方で学ぶってすごく刺激的です。来週の授業が待ち遠しいです。