「創業者の訛り」の元記事

少し前に「創業者の訛り」というポールグレアムのエッセイが話題になったということに最近気づきました(翻訳者の方のブログはここです)。

これはもともとポールグレアムがInc誌の取材で答えたことにより「外国人嫌い」とか「人種差別者」と批判されたことに対する釈明で「訛りそのものが問題なんではなく、訛りがきつすぎてコミュニケーションに支障をきたすのが問題」と言っています。

もちろん彼の言っていることは正論なのですが、なぜそこまで批判を受けたかを理解するには元の取材記事までさかのぼってみる必要があると思い、元記事の該当部分を訳してみました。


How has your method of assessing Y Combinator applicants changed since it launched?

Y Combinatorの応募者を評価する方法はプログラムの開始自体変わりましたか?

We learned a bunch of tells as time went on. We videotape all of our interviews, and before each round of interviews, we look at the game tapes from the last round. By then, we know something about how these start-ups turned out, either good or bad. Sometimes, you look at that video and say, "We would have been fooled by these guys again." But sometimes, we can see: "Aha! They're doing X."

時間が経つにつれて多くを学んだよ。僕たちはインタビューを全て録画するし、毎回のインタビューの前に一つ前のラウンドのテープも見るようにしている。そうすることで各スタートアップが良くなるか、悪くなるか分かるようになるんだ。時々ビデオを見返すことで「こういう奴達にまただまされちゃうんだよな」とか「あ〜かれらがしようとしてることはXだな」とか分かってくるんだ。

Like what?

例えば?

One quality that's a really bad indication is a CEO with a strong foreign accent. I'm not sure why. It could be that there are a bunch of subtle things entrepreneurs have to communicate and can't if you have a strong accent. Or, it could be that anyone with half a brain would realize you're going to be more successful if you speak idiomatic English, so they must just be clueless if they haven't gotten rid of their strong accent. I just know it's a strong pattern we've seen.

悪いCEOとしての兆候の一つとして強い外国語訛りがある。なぜかはよくわからないんだけれど、起業家っていうのは多くの繊細なことを伝えなければいけないから訛りが強いとそれは無理なんだ。
それとも、ちゃんとした英語を話した方がより成功するだろうってことは脳みその中身が半分でも詰まっている人は気づくってことかもしれない。だからもし彼ら(訛の強い人たち)が彼らの訛を取り除いていないってことは、彼らは無能に違いない。こういうことが強い傾向としてでてくるってことを我々は見てきたんだ。

最後の部分は本当にポールグレアムのいったことなのか新聞記者が誇張したかはわかりませんが、このセリフを言葉どおりうけとめると多くの人が激怒するのも無理ないかなと思います。訛のきつさは気づいたからといって簡単に取り除けるものではないですしね。もちろん訛りの強い人が無くそうと努力するのは大切ですが、そういう人たちに向かってclueless(無知な、無能な)という言葉を使うのは外国人に対する配慮が欠けていると思われてもしかたありません(たとえポール自身が外国人起業家のためを思っての発言だとしても)。

この記事に対する反応として著名なイタリア人プログラマの人は以下のように述べています。

However as a native English speaker you should really realize that a lot of people are doing serious efforts to learn a language that is hard to learn: it is not an hobby, to master English is a big effort that a lot of people are trying to do to make communication simpler.
English has been my pain for 15 years

しかしながら英語がネイティブな人たちは多くの人たちがこの(英語という学習が大変な)言語を学習するためのなみなみならぬ努力をはらっているということを気づくべきだ。英語をマスターするのは趣味ってレベルじゃなくて多くの人たちがコミュニケーションをもっとスムーズに使用と多大な努力をしているんだ。

私自身かれこれイギリス在住9年になりますが、海外に初めていったのが大学に入ってなのでネイティブなみの発音には一生なれる気がしません。最近も自分のアプリのデモビデオを作ったところ「ナレーションは英語ネイティブの人にしてもらったら?このクレイジージャパニーズみたいなナレーションはちょっと」という痛いツッコミをもらったところです。

ただ我々外国人がポールグレアムやこういう傷つく一言を投げかけてくる人たちに対して怒ってもどうしようもなく、対抗するには地道に発音矯正の練習するしかありません。

っで思ったのが以前から作っていたStepUp.IOというアプリです(いきなり宣伝でごめんなさい)。

(上の画像をクリックするとページに飛びます)

これはビデオの中から自分の好きな部分を切り取り、ひたすらそこを反復練習するアプリです。

もともとはダンスとか楽器の練習とかに向いているのではと思ったのですが、語学練習にもいけるかなと思いました。いかがデモのビデオです。

現在は私が管理画面から追加したビデオでしか練習できませんが、ちゃんとした管理画面ができたら、誰でもお気に入りのビデオを追加することが出来るようにする予定です。 もし「これ役に立ちそう」と思われた方はGet Inviteのところでコンタクト情報を記入していただくと、準備ができしだいご招待する予定です。