Just a feature (ただの一機能)

スタートアップライフを始めてはや(たった)11週間たちました。それまでいろんな人に自分のサービスを説明する機会があったのですが、その時に相手からの返答で一番傷つくものの一つに「Isn't it just a feature?」(それってなんかのサービスの一機能じゃない?)と言われることです。というか今日も言われました。

私がいつも参考にしている"How to Build Startup" コースのSteve Blank氏ですらこういっています。

There's a couple mistakes when you're thinking about value proposition.

One is that what you're building might just be a feature of someone else's product.

You might have a good feature extension, but it might not be a business, or it might be a business for about 9 months till the incumbent just adds that in their next release.

バリュープロポジション(商品価値)を考えていく上でいくつかのよく犯しがちな間違いがあります。
そのうちの一つは誰か他の人の製品の一機能を作っているだけかもしれないということです。
あなたの作っているものはある機能の拡張としては良いかもしれませんがビジネスではないかもしれません。もしくは他社が9ヶ月後にその機能を追加するまでの命かもしれません。

でも思うんですけれど、まったく新しい製品やマーケットを一からつくるということは少なくて、ほとんどの企業アイデアは既存のサービスの不満点を解決するための解決手段としてでてきます。よって全ての新規事業は多かれ少なかれ「既存のサービスを拡張するための一機能」から出発することは否めないのでしょうか。

「ただのサービスの一機能」と人が言うときには二つの意味合いがあると思います。一つ目は「他社が実装してしまえばおわり」。二つ目は「そんな機能だけじゃビジネスとして通用しないよ」という意味合いです。

前者に関しては、私の知人がツイッターが「リスト」機能をつける前にそれと同等なサービスを運営していたのですが、ツイッターが機能をつけてしまったためにやめざるを得なくなってしまいました。あとツイッター向けのクライアントアプリを作っていた人たちはツイッターの方針変更によってみんなマーケットから閉め出されてしまいましたがそういう例って予見するのはほとんど無理じゃないかと思います。

最近EventBriteに買収されたソーシャルイベントマネジメント会社のlanyrdは自分がフォローする人が参加するカンファレンスの情報を教えてくれるサービスですが、それこそ「Meetup.orgとかがソーシャル機能をつけたら一発でおわり」と言われてもおかしくなかったのではないでしょうか? でも結局Meetup.orgはそういう機能をつけませんでした。

たぶん「他社が実装してしまえばおわり」を回避するには「1社に依存しないサービスをつくる」で良いのだと思います。正直言ってそれはあまり難しくないです。

でも二つ目の「そんな機能だけじゃビジネスとして通用しないよ」に対抗するのはとっても難しいです。

それに対するSteve Blank氏の解答は以下の通りです。

Sometimes it's very easy for founders to say, "Well, they all liked it." Well, okay. What you really want is they didn't like it; they've got to have it.

In fact, they didn't let me leave until they let me use the prototype.

That's when you know you have a business.

企業家の人たちが「みんな好きっていってくれているよ」っていうのは簡単さ。でも本当に必要なのは他人が「嫌いではない」サービスじゃなくて「なくちゃ困る」って言うほどのサービスだよ。「いや〜、お客さんが私のプロトタイプを使うまで帰らせてくれなくてさ」。そういう時にようやく本当のビジネスになるってことがわかるんだ

いや〜、これもあまり参考にならないですね。正直いって自分が身の回りで使っているウェブサービスのなかで「これがなきゃ本当に困る」っていうサービスがどれくらいあるんでしょうか? 私にとってなくなって困るのはメールぐらいでしょうか。


It has to be something that people demand, and there have to be enough of them to demand.

You might find, yeah, I found the 5 people in the entire world that love the product,

それは人々が要求するものじゃなくてはいけない。そして十分な数の人が要求しなくてはいけない。
世界中の人のなかでたった5人が好きじゃはじまらない。

10人話したうちの5人が好きになってくれればかんたんなんですが、そういうことがすぐに起きるのはまれですし、「好きって」いってくれる人が必ずしもサービスを使ってくれる訳ではないと言うことはこの3ヶ月間で身にしみて分かってきました。

でも起業家の道を選んだ人は、十分な数のユーザーを探すことをためらってはいけないんでしょうね。がんばれ自分