Minibar ロンドンのインターネットベンチャーイベントに行ってきました。(後編)

前回にひき続き、MiniBarというロンドンのインターネットベンチャーイベントのリポートです。

前回はプレゼンを行った企業の紹介をしましたが、今回は会場に来ていた人たちの模様を紹介します。

その前にちょっと余談ですが、実は今回のイベントに行くに先立ち購入した本があります。


人脈の教科書〜図解フジマキ流シビれる人生をつくる〜
藤巻幸夫
インデックス・コミュニケーションズ (2007/01/06)
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おすすめ度の平均: 4.5
4 シンプル!!
4 情熱が人を呼ぶ
2 チーム・リーダーの教科書がよかっただけに・・・

私はいままで社内エンジニアとしてずっと過ごしてきたので外部の知り合いが非常に少なく、人脈作りに苦手意識を持っていました。そこでせっかくこういったイベントに出かけるので、人脈を作るべくこの本を読んだのですがとても良かったのです。 そこで本を読んで「なるほど、実行しよう」とおもった項目と掛け合わせながらイベントの模様を紹介していきたいと思います。

CHAPTER1 その5: バーチャルな世界に人脈は存在しない
人と会って目を見て話、自分の足で自分のフィルターを作り上げることが、質のいい人脈を手に入れるためのファーストステップになる。
この時心がけたいのは、行動するときは必ず「ひとり」ででかけるということ。
特に若いうちは一人で歩き、自分を人に伝える、自分が何者であるかを知るということも、人脈作りにおいては大切だ。

わたしは特に社内パーティとか苦手で、すぐに知り合いとグループになって固まってしがいがちなのですが、なまじ知り合いがいるのが原因なのでしょう。
本当に誰も知らない状態でいくと、見知らぬ他人に話しかけるしかない状態に強制的に自分を追い込むことができて良いのでしょう。

同じことがここにも書いてあります。

CHAPTER3 その4: まずは顔を覚えてもらう
どんなところにも一人ででむく。
中身が見えているようなパーティに仲間とつるんで出かけるのと、予測のつかないところにひとりでがむしゃらに飛び込んでいくのとでは、その後の展開に大きな違いが現れる。

という訳で、もちろん今回は一人で出かけました。

CHAPTER2 その2: 気になる人をチェックする
すごいと感じた人なら、その感動の中身をしっかりmemoすること。そして自分なりにその人物のことを調べてみる。できればその人物に関するプロになるつもりで情報を集める。

事前の参加案内にはUbuntuというLinuxのパッケージ販売会社を経営するMark Shuttleworth や PC Forum などを主催していたことでも有名なEsther Dysonもいるというふれこみだったので、事前にwikipediaで情報をチェックしておきました。調べると色々面白いことがわかるものです。特に Makr Shuttleworthは世界で2番目に宇宙旅行をした人なんだそうです。
そういう情報を調べておくとぐっと人物に対する興味がわいてくるものです。

残念ながら私が会場内を探しまわった限り二人は見当たりませんでした(一応いつでも顔を認識できるようにGoogle Imageも検索しました)が、それでも仕入れた情報は会場の他の参加者との会話のネタとして役立ちました。

100人近い参加者のうち30人はスタートアップアイデアを持っているか、すでにビジネスを開始していると聞きました。そのおかげでこちらが特に話しかけなくても、他の参加者の方がガンガン私に話しかけてきて、「What do you do?」という質問をすれば、ほとんどの人たちが自分のアイデアを熱く語りだしていました。

意外なことに自分のアイデアを簡単に説明できる人って少ないようですね。いわゆる「エレベーターピッチ」に失敗している訳なんですが、自分のアイデアに興奮しているため、聞き手の私にとってちんぷんかんぷんだったりします。「あなたのサービスは誰が使うんですか?」と聞くと「だれでも使える」というのですが、どうやって使うか理解に苦しみました。

そんななか私への「エレベーターピッチ」で好印象をおさめた会社が2つあったので紹介しておきます。

  • ainkaboot すでに市場にある様々な製品を組み合わせ、テーラーメイドのクラスターソリューションを提供する会社。話をしたのは創業者の方なのですが、まだ大学を出て半年ぐらいのすごく若く、でもスーツもばっちり着こなした好青年でした。なんでも大学時代に金融機関でサマーインターン中にシステム開発部門でハイパフォーマンスクラスターマシンに対する需要が多いことから自分でビジネスをたちあげることにしたそうです。すでに潜在顧客がいるので、かれらようにシステムをくみ上げ、そこでの使用状況をケーススタディとして他社に売りこむと言っていました。
  • tteach "School 2.0"を名乗るこの会社はインターネット上で教育教材を個人が投稿する「教材マーケットプレース」を立ち上げるそうです。彼らの売りはオンライン上でパワーポイントのような優れたUIのツールだそうです。彼の家族が教育一家らしく、すでに300人の先生と1700人の生徒達とでテストを開始しているそうです。

2社ともシードマネーはすでに知り合いから受けているので早急にお金は必要ないそうですが、tteachの方は次回のMiniBarでプレゼンするそうです。

私がちょうどイベント会場から帰ろうと思った時のことです。会場入り口付近で同じようにエレベータピッチ会話を白ワイン片手に聞いているスーツ姿の男性がいたので、彼と後でいろいろおしゃべりしたのですが、なんと彼はIndex Ventures というSkypeに投資していることでも有名なヨーロッパの大手のベンチャーキャピタルにつとめている方でした。将来の有望企業を発掘するべくこういったイベントによく顔を出しているそうです。

CHAPTER5 その4:初対面の会話術
社外人脈を築くとき、初対面では「相手をいかにしゃべらせるか」がポイントになる。
人間というのは本能的に自分のことを話したいと願うもの。だからまずは相手のことを知りたいという素直な気持ちをもち、相手を引き出す努力をしよう。

通常ベンチャーキャピタリスとの人は、起業家が持ち込む何十ものビジネスプランの聞き役に徹することが多いと思うのですが、今回は逆に私が彼に「ビジネスピッチで成功するための条件は?」という質問をたくさんしました。その際の彼のアドバイスを載せておきます。

  • 何十ページもあるビジネスプランより、プロダクトがすでにあることが重要
  • サービスが始まった時点ですぐに収入がなくても良い。それよりも本当に使えるサービスでUserも多数いることが評価。
  • プランよりひと重要。Skypeを創業したNiklas Zennstrom なんか見ていてオーラが違う。でも彼ももともとはここにいるみんなと同じようなエンジニアの一人だった。
  • ベンチャーキャピタルといえば何億もの大金を投資するイメージがあるが、ハッカーと画家で有名なPaul Grahamが主催する、Y Combinatorのように、数千万単位の投資も行っている。そういった場合は、もっと気軽にベンチャーキャピタルの門を叩いてみても良い。

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち
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5 痛快です
5 思考経路に感動
5 案外、歴史的書物かもしれない




なかなかためになる話をたくさんしてもらったので、彼にはお礼の手紙を書くことにしました。

CHAPTER3 その7: ポストカードを持ち歩く
手帳のの間にお気に入りのポストカードを数枚と切手を準備しておくだけでいい。相手の顔を思い浮かべながら、「あの人が喜ぶのはどのデザインだろう」と手持ちの
カードを選ぶ時間というのも悪くない。 

こうして相手を思い、自分の気持ちをしっかりと相手に届くよう伝える家庭で、あなたと相手の間にはよりあたたかな絆が結ばれる。

当日はカードを持ち合わせていなかったので、翌日Tate Modern のお土産売り場で変わり種ポストカードを数枚購入しました。

その中で使用した一枚がこれです。


ベンチャーのイベントでみんなが力こぶ自慢をしてる模様と重ね合わせてみました。

http://farm1.static.flickr.com/146/414101967_5b4175eeac.jpg

かなり奇抜なカードなので先方の気分を害してしまう可能性もありますが、それはそれで勉強になったということで良しとします。

CHAPTER3 その7: 疎まれることも勉強だ
自分が疎まれた理由の棚卸し。
そんな地道な作業が、会話や相手の懐に飛び込むときのセンスを磨いてくれる。

こんな感じの初めてのインターネットベンチャーイベントでした。結構楽しめたのでまた似たようなイベント行ってみようかなと思ってます。




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